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経産省 大臣官房参事 / 中小企業基盤整備機構 創業・ベンチャー支援部長 石井氏インタビュー

  • 執筆者の写真: 藤崎 翔太
    藤崎 翔太
  • 2月17日
  • 読了時間: 6分

更新日:2月18日


経済産業省 石井芳明

経済産業省大臣官房参事 / 中小企業基盤整備機構 創業・ベンチャー支援部長として、創業促進、スタートアップの支援を推進


石井芳明氏に、経済産業省としての日本のスタートアップの現状と今後の展望などについて話を聞いた。



 

INDEX

 




 



経済産業省新規事業創造推進室について

&SmaRt:まず、経済産業省の新規事業創造推進室の活動内容を聞かせて頂けますか?


石井:はい、経済産業省の中でいろいろな新しい産業を育てていく部局がありますが、特に僕らがフォーカスしているのはスタートアップです。新規性と成長性があって、新しい分野にチャレンジする企業がどんどん出て来ないと、この国は元気になれないということで、今、スタートアップを巡るいろんな政策を打っているというところです。


&SmaRt:具体的には、どのような活動をされていますか?


石井:スタートアップに対する資金供給や人材育成、新しい市場開拓、規制緩和、あるいは政府調達などの政策の企画と実施です。資金を伴う事業であれば、必要な予算要求をします。また、規制改革が必要であれば、各省との調整や法律又は政令を変えるといった作業も担います。


&SmaRt:経済産業省が管轄されている融資や補助金等もあると思いますが、新規事業創造推進室としてもここを見られていますか?


石井:直接の担当ではありませんが、JIC(産業革新投資機構)や日本政策金融公庫など経済産業省内の各課と調整しています。


&SmaRt:日本でも、スタートアップと大企業のオープンイノベーションの取り組みが更に広がる必要があるかと思いますが、新規事業創造推進室でも、このオープンイノベーションに対して、何か取り組みはされていますか?


石井:いろいろとやっています。例えば、J-Startupというプログラムがあり、グローバル市場でも戦っていくようなスタートアップを支援しています。このコミュニティでは、多くの民間企業にもサポーター企業として参加して頂いています。サポーター企業の中には、ソニーやKDDIのような大企業、ファイナンス面でメガバンクやVCなども参加して頂いています。このコミュニティを通じて、大企業とスタートアップを繋ぐ、共同プロジェクトを促進するという役割も担っています。


また、オープンイノベーション向けの経済産業省の施策としては、大企業がスタートアップに出資をする際に、税制優遇する「オープンイノベーション促進税制」があります。



経済産業省 石井芳明




今後の成長市場について

&SmaRt:新規事業創造推進室として、今後、日本でも活発に成長するだろうと考える分野はありますか?


石井:医療・ライフサイエンス、環境、デジタルトランスフォーメーションは拡大する分野。そして「Web3」も注目ですね。ただ、Web3 に関しては、まだその全体像が見えていなく、僕らも勉強している最中です。


&SmaRt:Web3は世界的なIT分野における潮流に乗っていると思いますが、GAFAMを中心とした世界のプラットフォーマーに、オールジャパンとして、どう対峙していくのかが大事ですね?


石井:日本は、もともと「ものづくり」の製造分野では、グローバル市場で勝って来ましたが、ITの時代に入り、GAFAMに抜かれて、後塵を拝しているのが現状です。ですので、Web3の新しいITの時代に入る今だからこそ、新しい市場の重要なところを取っていけるように環境を整備することが重要と考えています。Web3の時代になると、プラットフォーマーが中抜きをする事がなかなか出来ず、商流が非中央集権型で、企業単位で、ダイレクトに繋がる可能性があると言われています。このパラダイムシフトにおいて日本企業は、何かしらの勝機はあるのかもしれないとは考えています。


&SmaRt:石井さんが御指摘された通り、Web3の時代では、日本企業にも十分に勝機はあると思いますが、現状では、まだGAFAMや米国のテック企業が投資する金額や組織の規模を含めても有利なはずです。これを前提とした場合、日本のスタートアップがWeb3の分野で勝負をするには、やはり大企業と関わる事が重要になるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか?


石井:2つ手段があると考えており、一つは大企業と組んで大きな枠組みを作る。もう一つは自らがM&Aを実施して、大きな組織を作るという選択肢があると思います。


&SmaRt:また、日本企業がグローバルで戦うには、どうしてもグローバルでは英語が標準語であるという大きな語学の壁があるのも事実だと思います。日本人が英語圏でなかなか勝負する事が出来ないという問題は良く知られていると思いますが、日本に優秀な外国人起業家やキーパーソンを誘致する事も出来ていないという側面もあるかと思います。


国として、グローバルで勝負をする企業を支援するには、この語学の壁という課題をどう解決するかも重要になるのではないでしょうか?


石井:確かに、その通りです。日本の教育環境も重要だと思いますが、日本のスタートアップ企業に優秀な外国人の方を呼び込んで、また海外の投資家も呼び込んで、グローバル市場で勝負をするスタートアップ企業を支援するということもやってみたいですね。



経済産業省 石井芳明




石井氏の経歴について

&SmaRt:最後に、石井さんの経済産業省の入省前と入省後、どのような経験をされたかということを聞かせて頂けますか?


石井:私は、生まれと育ちが岡山の田舎町の商店街の小さなお店の商家で、もともとは5代目になる予定でした。しかしながら、その商店街がシャッター通りになってしまい、商売を継ぐ事ができませんでした。小さい頃から、親戚が集まると商売の話ばかりでしたから、商売人になるつもりではいましたが、商売人になれないなら、中小企業とか商売する人を応援したいと考え、経済産業省に入省しました。


入省以来、長く中小企業支援を担っていましたが、途中で米国留学をしていたこともあり、その時の経験から、成長する企業、まだ小さいが今後成長が見込まれる企業というのが非常に重要であると考え、帰国後、スタートアップ支援に取り組むようになりました。


&SmaRt:では、入省以降、中小企業やスタートアップの支援に携わってきているのですね。


石井:中小機構に出向して、ファンドに対して出資をする担当や大田区役所にも出向し町工場の応援もしていました。省内では、中小企業とスタートアップ政策が中心で、これからもスタートアップ支援を続けていきたいと思います。


&SmaRt:Web3時代にグローバル市場で通用する日本のスタートアップ企業を育てるには、経済産業省の新規事業創造推進室が果たす役割が大きい事が良く分かりました。


本日は貴重なお話を頂き有難うございました。






経済産業省 石井芳明

経済産業省 大臣官房参事 / 中小企業基盤整備機構 創業・ベンチャー支援部長

石井 芳明

1965年生まれ。1987年岡山大学法学部法学科卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。1997年工業技術院国際研究協力課。2000年中小企業庁経営支援課。2003年経済産業省経済産業政策局産業組織課。2006年中小企業基盤整備機構資金支援課。2008年大田区産業経済部産業振興課課長。2011年経済産業省地域経済産業グループ地域経済産業政策課。2012年経済産業省新規事業調整官を経。2018年内閣府科学技術・イノベーション担当企画官。2021年から新規事業創造推進室長を経て現職。




 

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